受験基礎知識

海外からの中学受験

1. 受験の種類

一般的には「海外からの中学受験は難しい」と言われ続けてきました。それは、中学受験の勉強が一般的な小学校での勉強の延長線上にはない、ということが大きな理由です。特に、中学受験の算数は、学校で習う算数とはまったく別物だと思えるほどの難易度だと言えます。

しかし、学習塾などで勉強面でのしっかりとしたサポートが得られるのであれば、実は海外から受験ができた方が、制度的には圧倒的な優位性を確保できます。それは、端的に言って、受験機会が増えると言うことです。11月から1月にかけて実施される帰国生入試を受験した上で、なお、1月以降の一般入試を受験できるということは、帰国生だけに許された「特権」だと言えます。

したがって、帰国生入試の制度についてよく理解しておくことが、海外からの中学受験必勝法の第一歩だと言えます。単に「帰国生入試」と言っても、実施時期・受験科目・帰国生としての優遇措置など、学校によってさまざまなのです。

ここでは、まず受験の種類別に詳しくみていきます。

1. 帰国生入試(一般入試と別日程、別問題)

一般入試よりも2〜3カ月前に帰国生入試はスタートします。海外では11月から、日本でも12月から帰国生の受験シーズンが始まります。そうした入試は、一般入試とは異なる日程で実施される訳ですから、当然問題も一般入試とは異なります。ですから、帰国生が受験しやすい教科設定が可能であり、帰国生に特化した問題作成がなされる訳です。

受験教科からみると、《国語・算数の2科目》または、《国語・算数・英語の3科目》による入試が一般的ですが、《英語1科目》で受験できる学校もあります。国語と算数の入試問題は、一般入試に比べて難易度が下がります。その点で中学受験の勉強をしている生徒にとっては国内生より有利に受験できます。

一方で、作文や面接では、どのような海外体験をしてきたのかを尋ねられますので、自分の体験を表現するためのトレーニングも必要になってきます。また、渋谷教育学園幕張・渋谷教育学園渋谷のように非常に高い英語力を要求する場合もありますし、聖光学院のように、一般入試と比較しても難易度的には遜色のない入試を課す学校もありますので、帰国生に特化した入試だからといって、安易に考えることは禁物です。

一般入試と別日程、別問題の帰国生入試を実施する主な学校

中学校名入試科目
茗渓学園英語、面接/国語、算数、面接
立教池袋国語(作文含む)、算数、面接
学習院中等科国語(作文含む)、算数、面接
頌栄女子学院英語、面接
田園調布学園国語、算数、面接
立教女学院国語、算数、作文、面接
海城4科、面接/算数、総合、面接/算数、総合、英語、面接
大妻国語、算数、面接
共立女子国語、算数、面接
成蹊国語、算数、英語、面接
攻玉社国語、算数、面接/英語、面接
聖光学院国語、算数/英語、算数
洗足学園国語、算数、英語、面接/英語、面接
学習院女子中等科国語、算数、作文、面接
渋谷教育学園幕張英語、面接
渋谷教育学園渋谷国語、算数、作文、面接/国語、算数、英語、英語面接
立命館宇治作文、面接/国語、算数、面接/作文、面接
同志社国際(専願)英語資格、面接、書類/(併願)外国語作文、面接、書類

2. 帰国生入試(一般入試と同一日程、同一問題)

国内の一般受験生と同一の試験日に、同一の問題を受験しますが、帰国生として出願することで優遇措置が受けられます。筆記試験の合計得点に何点かの加点がある場合が多く、鷗友学園女子のように海外滞在年数に応じて優遇措置がとられる場合もありますので、国内の一般の受験生よりは有利に受験できます。

しかしながら、一般受験生と同一問題を受験するため、優遇措置があっても国内生とほぼ同等の学力が要求されると言えますので、本格的な受験準備が必要です。また、理科や社会が受験科目に課される場合がほとんどですから、当然、受験準備は2科目受験よりも量的にも増えていきます。

確かに受験準備は大変だと言えますが、国内生とほぼ同等の習熟度を目指すことで選択肢は広がっていきます。特に、このタイプの私学には男女ともに人気校が多いので、頑張ってみる価値は十分にあると言えます。

一般入試と同一日程、同一問題の帰国生入試を実施する主な学校

中学校名入試科目
市川4科/国語、算数、英語A/国語、算数、英語B
西大和学園国語、算数、英語、面接/国語、算数、面接
海陽中等教育国語、算数/国語、算数、英語
早稲田実業4科
早稲田4科
鴎友学園女子4科
豊島岡女子学園4科
巣鴨4科
横浜雙葉4科、面接/国語、算数、作文、面接
鎌倉女学院国語、算数、英語、面接
暁星4科、面接
慶應湘南藤沢中等部4科/国語、算数、外国語作文

3. 一般入試

国語・算数・理科・社会の4科目(関西では国語・算数・理科の3科目の場合もある)による入試です。東京にある学校に関して言えば、男子では開成・麻布・武蔵、女子では桜蔭・女子学院・雙葉といった御三家や、駒場東邦といった最難関校では帰国枠は設けられていません。神奈川でも、男子の栄光学園、女子のフェリス女学院も同様です。大学付属中についても、慶応普通部慶応中等部、早大学院などは帰国生に対する優遇措置はありません。

こうした実状が、海外からの中学受験を難しいと感じさせる要因になっていることは確かですが、聖光学院や豊島岡女子、慶應湘南藤沢、早稲田中、早実などの帰国生入試が射程距離に入っている受験生にとっては、決して目指すことが不可能な学校ではありません。例えば、1月の海城や聖光学院の帰国生入試で合格を勝ち取れた受験生であれば、是非、2月1日以降も開成や麻布、駒場東邦、栄光学園などの最難関高にチャレンジしてみる価値は十分にあります。

中学受験は、自分の意志で進学する中学を選ぶためにするものではないでしょうか?

それならば、国語・算数・英語だけでなく、理科や社会も勉強することで選択肢と可能性はイッキに広がっていきます。また、理科や社会を勉強した受験生の方が国語や算数も得意になるという傾向があります。「捨て教科」を作らず、まんべんなく勉強した受験生に多くのチャンスがやってくると言えます。

一般受験まで組み込んだ併願パターン(例)

男子・進学校志望

1月2月
海城(帰)聖光学院(帰)開成栄光学園筑波大附駒場

男子・大学付属志望

12月1月2月
学習院(帰)立教新座慶応普通部慶応湘南藤沢(帰)慶応中等部

女子・進学校志望

1月2月
大妻(帰)浦和明の星桜蔭豊島岡女子(帰)豊島岡女子(帰)

女子・大学付属志望

12月1月2月
立教女学院(帰)学習院女子(帰)早実(帰)慶応湘南藤沢(帰)慶応中等部

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