受験基礎知識

海外からの中学受験

3. 各教科で必要とされる能力について

算数

中学受験において、最も能力に差が現れる教科が算数です。私学の入試結果から受験者平均点と合格者平均点を見てみると、国語、社会、理科はあまり差がないのに対して、算数は10点以上差が開くことも稀ではありません。算数の入試問題が、学校がどんな生徒を求めているのかを知るための一番の材料となります。

和差算や旅人算、つるかめ算をはじめとする特殊算は、小学校の学習内容とはかけ離れているため、塾の授業と家庭学習の両立が不可欠です。数多くの公式や解法パターンを習得するだけでなく、高度な計算力も必要となります。さらに近年ではどんな解法パターンも当てはまらないような、試行錯誤を必要とする問題も増えています。自分で考える習慣や、最後まであきらめずにねばり強く問題に取り組む姿勢が、能力を大きく伸ばします。

小学生の思考能力開発に、中学受験の算数に勝るものはなかなかないでしょう。そのためにまず大切なことは、「算数を楽しんで勉強する」ということです。パズルを解く感覚で考えていけるようになれば、算数の世界に魅了される受験生も多いはずです。こうした能力の開発には、時間をかけてプロセスを大切にする学習が求められます。また、こうしたトレーニングは低学年の方が効果的だと言われています。そのためにも、早期からの受験準備のスタートが求められます。

国語

あらゆる教科の基礎となる教科が国語です。多くの知識と、精度の高い論理性が必要となります。覚えれば得点できる要素が少なく、時間を費やした分だけ学力が身に付くわけではありません。

ですから、低学年のときから読書習慣が身に付けておくことで、基礎的な国語力の土台を作っておくと圧倒的なアドバンテージを築くことが可能です。特に推薦図書や名作にこだわる必要はありません。子どもが興味を持った分野からスタートをすれば十分です。とにかく「本が好きな子」を育てていくことが重要だと思います。

特に海外では、子どもの成長期に、日本語に触れる機会が少なく、じわじわと母語の能力の伸長を阻害していきます。インターナショナルスクールや現地校に通う子どもたちであればなおさらです。周囲の大人がこうした現実を補完するための方策を準備する必要があります。高学年になって国語が不得意になってしまった場合、大きなマイナスを背負ってしまうことをよく認識しておく必要があります。

中学入試で主に扱われる文章は物語文、説明文、随筆文に大別されます。物語文では「友情」「家族」のように、小学生でも読みやすいテーマが多く取り上げられています。しかし、説明文では「言語論」「環境問題」「比較文化論」など現代的なトピックが取り扱われています。そういう意味では、小説だけでなく、自然科学や社会科学をテーマにした本や、新聞なども活用して幅広く活字文化に親しみ、時事問題などにも広く興味を育んでおくと有利だといえます。

理科

知識の蓄積のみならず、その知識をいかに応用できるかが問われます。生物・地学・物理・化学の4分野に大別されます。生物・地学分野においては、海外にいることによって知識が不足するので注意が必要です。物理・化学分野は高度な計算力や思考力を必要とする問題もあり、しっかりと問題演習をすることが大切です。また受験学年の年には、その年に話題になった理科的事象を確認することは必須です。日本人のノーベル賞受賞、JAXAやNASAなどの天体に関するニュースなどは、家庭でも意識して関心を持つとよいでしょう。

また、海外では子どもたちが実際に触れることができる自然環境が日本とは異なる場合があります。南半球で育った子どもたちに、日本の受験問題で問われる「星座の問題」が理解しづらいのは当然です。こうした現実を認識できていない場合、受験の理科が不得意になってしまうことは避けられません。海外で育った子どもたちが不利になってしまう分野があることを十分理解した上で、大人がサポートしていく必要があります。

社会

入試問題は大きく2つのタイプに分けられます。1つ目は知識を問う問題です。小学校の教科書を参考にして入試問題を作成している場合も多く、写真や図版は頭に入れておく必要があります。2つ目は理解力を問う問題です。事実に対して、「その結果、どのようなことが考えられるのか」「なぜそのようなことが起こったのか」など背景まで理解しているかを問われます。地理・歴史・政治の3分野を融合させた問題もあり、背景を納得した上で知識を獲得する学習が求められます。

また、理科と同様、帰国生の多くが社会を不得意な科目として挙げています。たとえ日本人学校で学んでいたとしても、日本の地理や歴史に関する情報量に関しては、日本の子どもたちよりも圧倒的に少ないという現実を見据えておく必要があります。家庭でも日本の地図帳に親しむ習慣や、学習漫画でもいいので、日本史に興味を持たせるような工夫が求められます。

英語

日本人学校生が英語で受験することはほとんどなく、主にインターナショナルスクール生や現地校生が英語で入試を受験します。英語圏からの帰国生徒と同じ条件での入試となるので、英検取得だけでなく、エッセイ・ライティングやボキャブラリー・ビルディング、グラマー対策を十分に行なうことが大切です。学校により求められる英語力は大幅に異なるので、子どもの現状の英語力と入試時期に必要な英語力をよく見極めて準備を進めましょう。

また、渋谷教育学園幕張のように、英語だけで合否を決めていく帰国生入試については、単なる英語力を問う試験だと安易に考えると失敗する恐れがあります。このような入試は、「英語で受験生の知性や思考力をみる試験」だと考えた方がいいでしょう。


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