受験基礎知識

海外からの大学受験

5. 入試の内容と難易度


一般受験であれば、大手予備校が実施する合否判定テストを頼りに各大学の難易度を把握し、自分の実力をそこに届くまで引き上げるような努力が可能です。また、過去の入試問題を書店で入手可能なため、入試対策は比較的容易と言えます。

一方、帰国生入試は、一学部あたりせいぜい数百名程度が受験する入試です。したがって、合否判定テストや偏差値といった目安が存在しません。また、過去問題を公表していない大学も多いため、受験生が入試の難易度を掴みづらいのも実情です。さらに、慶應義塾大学と早稲田大学を除くほとんどの大学は、帰国生入試では複数学部の併願できない仕組みになっているため、受験校・学部を慎重に選ぶ必要があります。

そこで、ここでは帰国生に特に人気のある3校の入試の特徴について記します。

大学名提出書類(統一試験・英語試験)筆記試験備考
慶應義塾大学・SAT Reasoning Testの目安1800点以上
・SAT Subject Testの受験も必須
・TOEFL iBTの目安105点?
・小論文学部の併願可
早稲田大学
*国際教養学部、政治経済学部を除く
・統一試験の提出は必要。ただし、合否は当日の筆記試験でほぼ決まる
・TOEFLのスコアは提出不可
・現代文読解(60分 大問2題)
・小論文
・英語
学部の併願可
上智大学・TOEFL iBT 45〜68で出願可能(学部による)
・SATのスコアでも可
・小論文
*学部により出題内容が異なる。学部の専門内容についてある程度の教養が必要
学部の併願不可

取り組みやすい慶應義塾の小論文

統一試験の成績が合否を大きく左右する慶應義塾大学で出題される小論文は、非常にスタンダードな内容で、帰国生入試に向けて小論文の準備をしてきた高校生であれば問題なく書ける内容であろう。統一試験の成績で合否がほぼ決まると言っても、第2次選考で不合格になる受験生もいるのでしっかりと準備をしておく必要がある。

2014年度 慶應義塾大学経済学部 小論文テーマ

最近のニュースの中から関心を持った経済問題を1つ選び、(1)何が問題になっているのか、(2)その問題が私たちの生活にどのように関わっているのか、(3)問題解決を模索する上で経済学はどのような役割を果たせるのか、の3点をふまえつつ、その経済問題について論じなさい。(800字以内)

2014年度 慶應義塾大学商学部 小論文テーマ

以下の(1)と(2)の質問に答えなさい。
日本では人口の少子高齢化が進展している。1990年に20歳未満に人口は全体の26%であったのだが、2010年になると18%に低下し、さらに国立社会保障人口問題研究所の人口推計によると2030年には15%に下がると予想されている。他方、65歳以上人口に占める高齢者比率は、1990年では12%であったのだが2010年には23%に上昇し、さらに2030年になると32%に上昇すると推計されている。
(1)日本では、なぜ少子化が進展しているとあなたは考えるか。
(2)少子高齢化は社会にどのような影響を与えるとあなたは考えるか。

真の実力が問われる早稲田大学の小論文

早稲田大学はSAT等の統一試験の結果提出こそ求めてはいるが、多くの受験生が取り組んでいるTOEFLについてはスコアの提出すら認めていないため、どんなにいい結果を出していても評価してもらえません。また、ほとんどの大学・学部の帰国生入試に課される面接も早稲田大学ではごく少数の学部でしか実施していません。つまり、合否は入試当日の筆記試験でほぼ決まるといって過言ではないのです。

そして、入試科目の中でもっとも帰国生泣かせなのが小論文です。各学部共通の小論部であるため志望学部の専門性に偏ったものではなく、また帰国生入試だからといって国際性や異文化をテーマにしたものとも限りません。社会や文化に関して書かれた文章を読み、400字以内で課題文を要約し、さらに600字以内で意見を書くというのがここ数年のスタンダードです。テーマや制限字数はともかく、難解なのは課題文の筆者の意見を正しく読み取り、これに対して自分なりの問題提起をした上で論理的に意見を主張していくことが求められます。もちろん、これこそが小論文で求められる力ですが、日頃から論説文を読んだり、それに対する自分の意見を書いたりするトレーニングを積んでいない受験生は手も足も出ないはずです。

早稲田大学は、受験日程が私大のほぼ最初に来るということもあり、ほとんどの帰国生が受験する大規模な帰国生入試です。しかし、各学部とも合格者は受験者の3割程度と非常に狭き門であるのが実情。絶対に早稲田大学に合格したいのであれば、海外滞在中からしっかりと国語や小論文の勉強しておく必要があります。

専門的な内容を問う上智大学の学科試験

慶應義塾大学、早稲田大学についで帰国生に人気があるのが上智大学です。出願基準としてTOEFL iBTのスコアが48〜68(学部による)となっており、海外在留期間が短く、高い英語力がまだ身についていない帰国生でも受験しやすいことが特徴です。上智大学の入試内容から感じられるのは、上智大学は帰国生が入学後に本気で勉強しようと思っているか否かを判断しようとしている点です。

学科試験は学部ごとに内容が異なります。学部によっては非常に専門的な内容を問う問題を出しますが、これは例えば「法学部を志望しているのであれば、海外滞在中でも法律に関する新書の数冊程度は読んでいるはず」ということが前提になっているのでしょう。

上智大学の学科試験の内容 *一部抜粋

学部学科学科試問の内容
小論文
歴史学をめぐる試問
国文古文・漢文を含む専門に関する筆記試験、小論文
英文英文和訳、和文英訳
新聞ジャーナリズムに関する基礎的学力試験
総合人間科学教育教育学の学修に必要な基礎学力の試験
心理課題文に関する論述試験
社会文章理解力、表現力、思考力についての試問
社会福祉社会および社会福祉に関する理解力と思考力を問う小論文
法学法律社会と法に関する基礎学力試験(小論文)
国際関係法国際関係に関する基礎学力試験(小論文)
地球環境法社会(環境問題を含む)と法に関する基礎学力試験(小論文)
経済経済小論文、数学(I,II,A,B[数列][ベクトル])
経営産業社会に関する基礎的学力試験(英語を含む)
外国語英語英文解釈、リスニング、時事教養問題(英作文)
総合グローバル総合グローバル小論文

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